No Borderな大阪の公共空間とNEOミナミ論。万博の熱狂を2030年へ…外国人×ローカルが本音で語る「OSAKA BUDDY Meet Up vol.02」レポート

山瀬龍一

山瀬龍一

ミナミまち育てネットワークとMUIC Kansai(一般社団法人関西イノベーションセンター)、人間編集舎が連携し、大阪・ミナミの「人」が持つ魅力に焦点を当て、インバウンド向けに情報を発信する「OSAKA BUDDY Local Tours」。そんな取り組みで生まれた人と人のつながりをより強く、パワフルにしようと、オフライン交流イベント「OSAKA BUDDY Meet Up vol.2」が2025年12月18日に開催されました。

今回は、大阪のまちで活動するプレイヤーや企業、そして大阪在住の外国人の計約40人が参加。万博イヤーを振り返りながら、「これからの大阪」や「2030年に向けたまちの未来」について意見を交わしました。トークセッションからグループディスカッション、懇親会まで、MUIC Kansaiの淀屋橋オフィスで行われたイベントの様子をレポートします。

「外からやって来た人にもオープンでフレンドリー」「他のアジア諸国にも似て、コミュニケーションの距離が近い」などと語られる大阪人のキャラクター。大阪・関西万博を契機に、その人懐っこさはより多くの人の知るところとなり、重要な観光資源のひとつとしても注目が高まっています。

OSAKA BUDDY Local Toursは、そんな大阪らしさを軸に、外国人とローカル、企業と個人、立場や国籍を越えた“相棒(BUDDIES)”の関係を増やしていくプロジェクトです。外国人ウェルカムな店舗や人を可視化し、「困ったら誰かが助けてくれる」「話しかければつながれる」そんな“No Distance! No Border!”なまちの魅力を発信してきました。

アルトゥルさんと巡る新梅田食道街の動画

その取り組みの一環として開催されているのが「OSAKA BUDDY Meet Up」です。ミナミの現場で活動する人々、企業、そして大阪に暮らす外国人が一堂に会し、これからの大阪のまちの在り方、未来などについて語り合う場を設けています。2回目の開催となる今回は、トークセッションやグループディスカッションを実施。普段現場に立つ参加者たちのリアルな課題やアイデアが飛び交う、熱量の高い一日となりました。

ダイジェスト動画

まちの名物編集者とプランナーが見つめる、大阪の“いま”と“これから”とは?

冒頭に行われたトークセッションでは、「大阪の現在地」というテーマを軸に、大阪というまちが今どこに立ち、どこへ向かおうとしているのか、2人のゲストの意見に耳を傾けました。

一人目のゲストは、月刊誌『Meets Regional』編集長・松尾修平さん。日々まちを取材し、京阪神の飲食やカルチャーを紹介しています。仕事と遊びをシームレスに行き来しながら、まちで暮らす立場から、肌で感じるまちの変化、トレンドに関する知見を披露してもらいました。

そしてもう一人は、JR西日本SC開発株式会社未来価値創造部で部長を務める出口清史さん。商業施設に関する業務に取り組む一方で、一般社団法人demoexpo(以下、demo!expo)のスペシャルサポーターとして活動し、公共空間を活用したコンテンツづくりなどに携わってきました。
ファシリテーターは、OSAKA BUDDYの運営にあたる株式会社人間編集舎の代表取締役舎長・トミモトリエが担当しました。

最初のトークテーマは「NEOミナミ」。これまでの繁華街のイメージとは異なる文脈で、いま注目を集めている桜川・芦原橋・大国町といった周辺エリアに着目しつつ、近年感じている変化について語りました。

松尾さんは上記エリアに加え、本町、北浜、谷町の盛り上がりに言及し「ミナミは真ん中が飽和状態になってきているのかも」と背景を考察。個人店やクリエイターの活動が周縁へと広がり、「ミナミ」の輪郭が変化しつつあると論じます。

これに対して出口さんは「キタの人間からすると、ミナミは個性があって、自由で、憧れの対象なんです」と前置きしつつ、エリアを分ける“線”の引き直しに言及しました。「海外の人はもちろん、地元の人にとっても、どこまでがキタか分からなくなってきているって、興味深い。境界を再解釈して魅力を伝えることも大事かもしれません」と提唱すると、松尾さんも深くうなずいていました。

二つ目のテーマは「公共空間の変化」。ミナミの「なんば広場」、キタの「うめきた公園」などの実例を踏まえ、まちの使われ方が変わることで、人の動きや関係性がどう変化しているのかが語られました。

「都市の中に公共空間、すなわち余白をちゃんと作れば、滞在時間が延びる。そうすると、まちの思い出として共有され、外から来る人にも伝わりやすくなるはず」と出口さん。松尾さんも「梅田には余白がないと思っていたが、うめきた公園ができて、立ち止まることが増えた。まちとしての“抜け感”もいいですよね」と応えました。

梅田の動線の変化から、話題は近年開業した商業施設へ。このうち、大阪の人気飲食店が集う「バルチカ03」について松尾さんは「これまでなら個人店を目掛けて飲みに行っていた人たちが、梅田の、しかもビルにわざわざ行っているのが面白い」と編集者目線の印象を明かすと、出口さんも「僕もその一人。お酒が飲めないので、その場の“空気”を飲んで酔っ払っていますが」と笑いを誘いました。

万博で盛り上がった2025年は、「なくなってしまうもの」も続出した一年でした。象徴的な例として、ナイトカルチャーやアンダーグラウンドシーンを支えてきた「味園ビル」などを取り上げ、老朽化に伴う風景の変化や喪失について振り返りました。

トークセッションの最後は、海外から見た大阪の魅力や、統合型リゾート「大阪IR」の開業目安とされる2030年に向けた展望を語り合いました。松尾さんは「ローカルを求め、大阪を拠点に滞在する外国人が増えた。彼らにとって大阪は『食堂』になれる。人との距離が近く、熱量のあるまちだということが伝われば、もっと盛り上がるはず」と述べ、出口さんは「今後は外の人を巻き込んで、一緒にまちを作り上げていく視点が必要になる」とまとめました。

飲食店・鉄道会社・外国人……それぞれの知見を持ち寄ったグループディスカッションは白熱!

続いては、参加者全員でグループディスカッションを実施。7グループに分かれ、それぞれに割り当てられたテーマについて意見を交換しました。

テーマは「より良い建物・公共空間の活用方法」と 「2030年に向けて、大阪に残すもの・変えるもの」 のふたつ。参加者には大手建設会社、鉄道会社、大阪観光局など、インフラからまちづくりや観光に関わる企業、飲食店を店主やアーティストなどまちのプレイヤーも、また外国人の出身地もフランス、ウクライナと多彩なバックグラウンドを持つ人々がそれぞれの知見や実体験を持ち寄り、これからの大阪のあり方について熱い議論を展開しました。
経営者や会社員によるグループでは、異ジャンル同士ならではの気づきがあったよう。
推し活などそれぞれの趣味を踏まえ、まちの使い方を考える参加者も。
ナイトタイムの遊び方に関して、リアルな意見が飛び出した外国人グループ。

ディスカッションの後には、各チームからの発表が行われました。
グループごとに話し合われた内容や視点が共有され、それぞれ異なる立場や経験から生まれたアイデアが会場に広がっていきました。
なんば広場の取り組みから「公共空間を生かすには、周囲のプレーヤーを巻き込む取り組みが必要」と発表しました。
大阪の劇場文化を残していくために「演者とファンが交流できる宿泊施設を運用しては?」と提案。
「大阪全体のローカル情報を一括して得られるような、集約された情報発信の仕組みが必要」との意見は、大手飲食チェーンと大阪の飲食店、両方の視点を踏まえたもの。
オーバーツーリズムや観光客によるゴミ問題を受け、大阪らしいマナー発信の必要性を説いたグループも。

懇親会では“キャラ強”なローカル飲食店のフード、大阪芸妓の舞を堪能。

プログラム終了後には懇親会が開かれ、会場はよりカジュアルなムードに。この日参加した飲食店によるフードやドリンクを楽しみながら、一歩踏み込んでの交流や情報交換を行いました。
「日本で一番乾杯する屋台」を標榜する、新世界の「スタンドらんらん」のローストビーフ。
常時100種類の日本酒を揃える、心斎橋の「日本酒うなぎだに」の細巻き。
同じく「日本酒うなぎだに」の名物「う巻」。
大阪市内に醸造所や飲食店を展開する都市型ブルワリー「BAK」のクラフトビール。
塚本の「THEcoffeetime」は、ドーナツとお土産のドリップバッグも用意。

会のクライマックスには、OSAKA BUDDYの動画にでも紹介している「お茶屋 たに川」の芸妓さんが登場し、舞を披露。会場は、華やかながら凛とした空気に包まれ、浪速のまちに息づく伝統文化を体感するひとときとなりました。

創業約60年、ミナミで営業を続けている唯一のお茶屋、たに川のヒストリーや芸妓の思いはこちらの動画をご視聴ください。

舞の披露後は、芸妓さんも懇親会に加わり、参加者と交流するなど、会場はさらに和やかな雰囲気になりました。

この日の出会いがきっかけで、昨秋アメ村にオープンしたミニシアター「シアターエミュ」で、たに川の芸妓・千鶴さんのドキュメンタリー映画『鶴になる』のコラボ上映が決定。
「シアターエミュ」のプロデューサー・栗原ゆうさんと記念撮影。

変わりゆくまちに何を残すか? これからもBUDDYたちと考える場に。

今回のOSAKA BUDDY Meet Up vol.2は、各パートとも活発な議論・交流が展開されました。普段は活動領域を異にする参加者たちは、お互いの立場や取り組みをリスペクトしながら、リアルな意見を交換。大阪の現在地とこれからを見つめ直す場となりました。

まちを形づくる人、風景、カルチャーは時代とともに変わっていきます。その中で、何を残していくのかは、地域の将来を語る上で無視できないトピックです。テーブルを囲んで交わされた意見や提言は、一人ひとりが次のアクションを考えるための確かなヒントとなったはず。OSAKA BUDDYはこれからも、あらゆる垣根を越えて人と人、文化とまちをつなぐ媒体として、対話の場をつくり続けていきます。

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